韓国のカフェ文化

韓国カフェ文化の現状は 韓国ドラマのシーンでカフェが使われたり、韓国の街中を歩いていると至る所にカフェが見られた りする。韓国でカフェの隣にカフェがあることは珍しいことではない。2022 年末時点で、韓国にある コーヒー専門店の数は10万店を越している。コンビニエンスストアの数は約5万店であるので、コ ーヒー専門店の数は約2倍になる。1日あたり平均44店舗のカフェが新しくオープンしている。韓 国にあるカフェの数はすでに飽和状態となっている。 韓国のコーヒーショップの市場規模は世界 3 位となったことがわかった(ユーロモニターインターナ ショナル 2007〜2018 年の市場分析)。1 位はアメリカ261億ドル、2 位は中国51億ドル、そし て 3 位が韓国42億ドルとなった。ちなみに日本は 4 位で40億ドルである。一人当たりで計算する と、韓国のコーヒー市場は世界 1 位となる。韓国人は非常にコーヒーを好んでおり、年間珈琲消費 量の世界平均が1人あたり161杯に対して、韓国人の消費量は367杯という統計が出ている。 しかし、韓国は昔から世界的に見てカフェが多い国であったわけではない。2007 年を見ると韓国 のコーヒー市場規模は非常に低かったことがわかる。日本と比較しても、圧倒的に日本の市場規 模が高いことが一目瞭然である。


カフェ文化の発展要因
韓国でカフェ文化が現在まで発展してきた理由はいくつかある。 1970 年代 80 年代は、韓国では伝統的なお茶文化が主流を占めていた。そこから 1990 年代にコ ーヒ文化が広がった。コーヒーは日常の中で、多くの人に手軽に飲める飲料として位置付けられ、 これに伴って韓国ではカフェの需要が増加していった。

 

 

1. おしゃれな空間 韓国のカフェは、内装や雰囲気にこだわりがあり、インスタ映えするデザイン が多い。これが若者を中心に人気を集めている。インテリアをこだわりのあるものを選んだり、 飲み物や食べ物の器をユニークなもので提供したりする店が多い。どのお店に行っても、細 部まで拘っていることが伝わる。

 

2. 多様なメニュー 韓国のカフェでは、ドリンクのメニューやデザートのメニューが豊富で、見た 目も味も楽しめるものが多い。日本にも、メニューが豊富な店はある。しかし、日本と韓国を比 較すると、韓国の方が、ビジュアル的にもフレーバー的にも種類が豊富である。韓国のカフェ には、ビジュアルを重視したものが多いように感じる。それぞれのカフェのシグニチャーメニュ ーは、お店の雰囲気を表していると感じる

 

3. 個人経営のカフェの多さ 韓国では、個人経営の小規模なカフェが多く、それぞれが独自のコ ンセプトやメニューを持っている。日本では、小規模の個人経営をしているカフェよりも「スタバ」 や「タリーズ」などのチェーン店をよく見かける。日本のチェーン店のように、韓国にも「スタバ」 や「Horry’s Coffee」、「Mega Coffee」などのチェーン店はたくさんある。それに加えて、個人経 営を行う小規模なカフェも多く存在しているため、カフェの数が多いと感じる。個人経営の店で は、価格が安いメニューを見かけることは少ないが、その分それぞれの店によって、こだわり の部分を持っている。

 

 

4. カフェでの勉強文化 韓国では、カフェで勉強することは一般的で、「カゴン」という、カフェで勉 強することを意味する言葉もあるほどだ。日本だと、長時間勉強することを断っている店も多く、 勉強はしづらい。スタバなどのチェーン店では、勉強、仕事をしている人も見られるが、個人経 営の店では、そのような人を見かけることはほとんどいない。

 

5. ソーシャルメディアの影響 ソーシャルメディアの発展は韓国のカフェ文化に大きな影響を与え た。インスタグラムなどのソーシャルメディアでカフェの写真が多くシェアされることで、カフェ巡 りが一種のトレンドになっている。

 

6. 奢り奢られる韓国文化 韓国では割り勘を嫌う文化が現在まで根強く残っている。割り勘をす ることはケチくさいイメージがあるので誰かが代表して一緒に食事をした全員分のお金を払う。 年長者が奢ることが多いが、負担が偏っている。何度か食事をするメンバーならローテーショ ンなどで払う人を決めておけば良いが、次にいつ会うかわからないような相手になると奢られ っぱなしになってしまう。それは、相手に悪い気がする、ということで食事の後に場所を移した カフェで、「今回は私が!」というように奢られっぱなしにならないようにする文化が存在する。

 

7. 経済的要因 韓国の就職難は深刻な問題となっている。特に、大企業や公務員の職を目指す 学生が多いですが、競争が激しく、就職するのは非常に困難だ。就職難の影響で、若者が少 額の資本でカフェを開業するケースが増えている。本格派を目指さないのであれば元手や技 術は多く必要ないため、敷居は低く、初期投資も低く、低資本で開業することが可能だ。

 

韓国ではアメリカーノが大人気
アメリカーノとは、エスプレッソにお湯を加えたもので、コーヒーの濃さや味わいが特徴の飲み物で ある。韓国は日本と比較して、非常にアメリカーノが人気である。アメリカーノは、「すっきりとした 味わい」でその味が韓国人に人気となっている。エスプレッソにお湯を加えるので、程よく苦味が 抑えられ、すっきりとした飲み口で、日常的に飲みやすい飲み物である。日本のアイスコーヒーと 比較すると、アメリカーノはコーヒーよりも飲みやすい。カフェインで気持ちが悪くなるということも 起こりづらい。アメリカーノは砂糖やミルクが含まれない飲み物なので低カロリーで健康的だ。ま た、アメリカーノは他の飲料と比べて価格がリーズナブルである。学生や若い層、経済的に慎重な 層でも手軽にコーヒーの味わえる飲み物であることも人気の一つだ。

 

韓国人はよくカフェを利用する
カフェは友人や同僚と会うための社交の場として利用されることが多い。韓国のカフェは空間をこ だわっていることが多く、リラックスした雰囲気で会話を楽しむことができる。韓国の多くのカフェに は Wi-Fi や電源が完備されているので、勉強や仕事をするのに適した環境が整っている。特に学 生やフリーランスにとっては便利な場所だ。韓国のカフェは、おしゃれな内装やユニークなメニュー が多く、SNS でシェアするための「インスタ映え」を狙ってカフェを利用する人も一般的だ。カフェ文 化は都市生活の一部となっており、新しいカフェが次々とオープンすることで、常に新しい体験が 提供されている。忙しい日常から一時的に離れてリラックスするための場所としてもカフェは人気。 コーヒーやデザートを楽しみながら、リフレッシュすることができる。 トレンドに敏感な韓国 韓国人のトレンド感覚は非常に敏感で、特に若者の間では新しいものや流行に対する関心が高 い。ファッションやビューティー、テクノロジー、エンターテインメント、食文化など、さまざまの分野 で最新のトレンドを追いかける傾向がある。従って、韓国ではトレンドカフェが非常に人気である。 ・テーマカフェ 特定のテーマに基づいたカフェが人気。例えばキャラクターカフェやアニメカフェペ ットカフェなど。テーマに合わせた内装やメニューが楽しめる。

 

・インスタ映えカフェ 美しいデザインやユニークなデコレーションが特徴のカフェ。特に、カラフル 犬と触れ合えるカフェ なドリンクやデザートが人気で、写真を撮って SNS に投稿する人が多い。 ・エコフレンドリーカフェ 環境に配慮したカフェも増えている。リサイクル素材を使用したインテリア や、プラスチックフリーのメニューが特徴。 ・カフェ+α カフェに加えて、他のサービスを提供する場所も人気。例えば、カフェと書店が一体 となった「ブックカフェ」や、カフェとアートギャラリーが融合した「アートカフェ」などがある。 ・健康志向カフェ ビーガンやグルテンフリー、オーガニック食材を使用したメニューを提供するカ フェが増えている。健康志向の人々にとって魅力的な選択肢だ。

 

カフェに関する略語
カフェ文化である韓国には、カフェに関するユニークな造語がたくさんある。
・카공족(カゴンジョク) 카페(カフェ)と공부(勉強)を組み合わせた造語で、カフェで勉強する 人々を指す。特に学生に多い。
・커피스족(コピスジョク) 커피(コーヒー)と오피스(オフィス)を組み合わせた造語で、カフェで仕 事する人々を指す。日本でいうノマドワーカーに近い概念だ。
・아아(アア) 아이스 아메리카노(アイスアメリカーノ)の略。韓国では、寒い人でもア イスアメリカーノを飲む人が多く、「얼죽아」(オルチュガ)という「凍って 死んでもアイスアメリカーノ」という造語もある。

日本にカフェが少ない理由
日本では、カフェを開くための規制や手続きが厳しいことが多い。特に、オープンカフェを開くため には行政や警察への申請が必要で、これが大変な手間となる。日本では、カフェよりもコンビニや 自動販売機でコーヒーを購入することが一般的である。これにより、カフェの需要が相対的に低く なっている。日本の喫茶店は、1980 年代から減少傾向にある。これは、消費者の嗜好が変わり、 コーヒーの品質や価格に対する要求が高まったためだ。その結果、競争に勝てない喫茶店が閉 小麦粉、砂糖が使われていない健康志向のスイーツ 店するケースが増えた。日本では、公共の場所での飲食に対する規制が厳しいため、オープンカ フェのような形式が少ない。

日本のカフェと韓国のカフェの違い
○内装と雰囲気
[韓国] 韓国のカフェは、内装や雰囲気に非常にこだわっており、インスタ映えするデザインが多 い。テーブルごとに花瓶が置かれていたり、ユニークな形の照明が使われていたりす る。また、空間にも余裕があり、全体的に広々としている。
[日本] 日本のカフェもおしゃれな場所はあるが韓国ほど内装にこだわるカフェは少ないかしれ ない。隣の席と、座席が近い店も多くて、周りが気になりやすい。
○メニューの豊富さ
[韓国] 韓国のカフェでは、ビジュアル的にもフレーバー的にも豊富なメニューが特徴だ。例え ば、色鮮やかなドリンクやユニークなデザートが多く見られる。
[日本] 日本のカフェでは、コーヒーや紅茶、ケーキなどの定番メニューが中心である。最近で は韓国風のメニューも増えてきつつある。
○利用目的
[韓国] 韓国では、カフェで勉強や仕事をすることが一般的、電源や Wi-Fi が充実しているカフ ェが多い。
[日本] 日本でもカフェで勉強や仕事をする人はいますが、長時間の利用を制限するカフェが ほとんどである。
○カフェの種類
[韓国] 韓国には個人経営のカフェが多く、それぞれ独自のコンセプトやメニューを持っている。

[日本] 日本ではチェーン店のカフェが多く見られるが、メイドカフェや猫カフェなどのコンセプト カフェも人気だ。
○価格帯
[韓国] 韓国のカフェは、特に個人経営のカフェでは価格帯はやや高めだが、その分独自のメ ニューやサービスが楽しめる。
[日本] 日本のカフェは、チェーン店が多いため、比較的リーズナブルな価格帯で利用できるこ とが多い。

韓国人の性格
喜怒哀楽の表情が豊か 韓国人は感情を率直に表現することが多い。 愛国心が強い 韓国人は自国に対する誇りを持っており、愛国心が強い。 自己主張が強い 自分の意見をはっきり伝える傾向がある。 情が深い 困っている人を助けることが多く、情に厚い。 せっかち 物事を早く進めることを好む傾向がある。 また、韓国人は人にどう見えるかを気にする見栄っ張りな性格もある。日本人も世間体を気にす るが韓国人はもっと気にする。

韓国のカフェが長続きしない理由

韓国ではカフェの数が非常に多い。このため競争率が高く、新規参入者が成功することは難しい。 同じエリアに複数のカフェが存在し、価格競争やサービスの差別化をすることが難しいので収益 性が低下して、経営が厳しくなることが多い。 韓国人は非常にトレンドに敏感で移り変わりが激しいので、消費者の嗜好が急速に変化する。そ のトレンドに乗り遅れてしまうと、すぐに客足が遠のくことがある。 カフェ文化によって、韓国では「カゴンゾク」と言われるカフェで長時間、勉強や仕事をする人たち が多く座席の回転率が悪くなる。滞在時間が長く、他の客が使用できなくなり収益も少なくなる。 韓国でカフェを始めるのは、若者が多い。韓国での就職難や低資本で開業することが多いので、 十分な経営のノウハウや資金が不足していることが多い。このため、長期的、持続的に経営をし ていくことが難しくなる。

韓国はカフェを始めやすい

韓国のカフェが長続きしない理由の一つに、韓国では簡単にカフェが始めやすいということがある。 カフェ文化が非常に発展している韓国では、若者を中心にカフェ巡りがとても人気で、カフェビジネ スの事例が多く存在する。そのため、ノウハウや成功事例が豊富にある。韓国のカフェではデザ インやインテリアに強いこだわりを持つ店が多く、インスタ映えするおしゃれな空間を提供する。イ ンスタ映えなど SNS を使用したマーケティングを行えば集客に繋がりやすい。韓国のカフェでは、 ドリンクだけではなく、デザートや軽食などメニューが豊富に揃えられていることが多い。そのため、 ターゲットが広くなるので幅広い顧客を持つことが可能になる。韓国では、個人経営の店が多くみ られるが、フランチャイズも数としては多く存在している。既存のブランドを利用してビジネスを始 めることが簡単となる。フランチャイズでは、ブランド力やマーケティングの支援を受けながら始め ることができるのでリスクが低くなる。韓国では、中小企業やスタートアップを支援するプログラム がある。カフェビジネスもそのプログラムを提供してもらえる対象となっている。これによって、資金 調達やビジネスの立ち上げをスムーズに行うことができる。

 

韓国のカフェで成功するためには
韓国でカフェを成功させるためには戦略が必要となる。まず特に必要なポイントをあげる。 韓国のカフェ市場は競争が非常に激しいので、他のカフェと差別化できる独特のコンセプトが必 要だ。例えば、決まったテーマやデザイン、特別なメニューがあることだ。 コーヒーの品質はもちろん、それに加えてデザートや軽食のメニューのクオリティも大切である。 韓国では特に、デザートで評判になるカフェが多い。 カフェの立地は重要である。人通りが多い、アクセスの良い場所を選ぶことが大切だ。また、大 学やオフィス街の近くは、集客があって人気を得ることが多い。 優れた顧客サービスはリピーターを増やすポイントとなる。スタッフ教育や、顧客おフィードバック を積極的に行わなければならない。 韓国のカフェ文化は常に進化し続けている。最新のトレンドを把握し、それに対応するアイディア やメニュー、サービスをトレンドに乗り遅れないようにいち早く取り入れ、提供しなければならない。 韓国では SNS のマーケティングが非常に重要となっている。インスタグラムやフェイスブックを活 用 して 、 カ フ ェの魅力を発信 してい く と良い 。 イ ンスタ映えする写真が効果的であ る 。

 

韓国人が日本でカフェを開く

現在日本には多くの韓国カフェが進出してきている。成功例も上がっている。例えば、韓国で人 気のカフェチェーン店「HORRYS」が大阪にオープンし、話題になっている。 韓国はすでにカフェの数が飽和していて、開業をしても長期で維持することができないカフェが多 い。日本は、韓国と比較して、カフェの数が少ない。スターバックスやドトールなどのカフェチェー ン店はよく見られるが、内装やインテリアのような空間、ドリンクやデザートのメニューをこだわっ ている店が少ない。日本人も空間を大事にし、SNS 映えなど意識する人も多くいる。実際、日本 で韓国風のカフェは若者に大人気で、休日はいつも賑わっている印象だ。また、韓国旅行をする 日本人は韓国で、カフェへ行くことを楽しみにする人も多い。このように日本人に、韓国のカフェ がとても人気であるので、競合のカフェが多すぎて維持できない韓国でカフェを開業するよりも 日本で開業する方が長期的に人気のあるカフェを経営することができると考える。韓国人が、日 本でカフェを開くためにポイントがいくつかある。

1. ユニークなコンセプト 他のカフェと差別化するために、独自のテーマやメニューを考えること が重要。例えば、韓国の伝統的なデザートやドリンクを提供する。

2. ローケーション 人通りが多く、アクセスの良い場所を選ぶ。特に、観光客や若者の集まるエ リアでするのが良い。

3. マーケティング SNS を活用してカフェの魅力を発信することが効果的だ。特に、インスタグラ ムのプロモーションは有効だ。日本人は、カフェを探す際、インスタグラムで見つけることが 多い。インスタ映えを狙ったマーケティングは、現代のマーケティングの戦略として重要であ る。 

4. 文化の理解 日本の文化や習慣を理解し、現地のニーズに合わせたサービスを提供するこ とが大切だ。 十分な計画と準備をし、戦略立てることで韓国人でも日本でカフェを成功させることができる。 

 

まとめ

韓国ですぐ潰れてしまっている店も魅力的で、人気の出そうなカフェが多い。しかし、カフェを始 める韓国人は、しっかりした経営方法を勉強せずオープンさせて失敗することが多々ある。 韓国でカフェをするにしても、日本でカフェをするにしても、計画なしで突発的に行動を起こさず、 成功のノウハウを学び、目先のことまで考えた戦略を立てて行うことが非常に重要だと考える。

 

・・記者:越智 萌(神戸国際大学 4 年)