1. はじめに
私は「第9回韓⽇未来フォーラム」に参加して、韓国の⽂化・習慣・⾔語についてより深く理解することができ、同時に韓国に対するイメージが変わりました。私にとっては今回のフォーラムが初めての、⾃主的に参加した国際交流となりました。韓国の⼤学⽣とのディスカッションを通して多くのことを学べたので、レポートに書いていきたいと思います。
2. 韓⽇両国の学⽣⽣活・就職活動の違い
私達のディスカッションテーマは韓⽇両国の学⽣⽣活についてでした。私達のグループでは次の 6 つの観点からこのテーマについて話し合いました。(1)⼤学施設、(2)学園祭、(3)⽂化⽣活、(4)韓⽇両国の就職環境の現状、(5)就活のために在学中何をするか、(6)韓⽇両国の学⽣が互いの国の就職活動について感じたこと です。これらのテーマについて感じたことを(1)〜(3)の学⽣⽣活の部分と(4)〜(6)の就職活動の部分に分けて書きたいと思います。
まず、学⽣⽣活についてです。韓国独⾃のシステムとして特に印象に残ったのは「MT(MembershipTraining)」です。学科別に⾏われる合宿で、学科の友達との親交を深めます。ディスカッションの最中に韓国の⼤学⽣が実際の写真を⾒せてくれました。お酒も交えて学科の仲間との親交を深めるそうです。⽇本の⼤学ではこういった合宿は部活動やサークル別に⾏われるため、これらに所属していない学⽣にとってはあまり縁のないものです。このシステムは⽇本にはなく、学科の友達と仲良くなれる機会はあまりないので、羨ましく思いました。もう1つ強く印象に残ったことがあります。それは、休学中は学費を払わなくても良いことです。⽇本の私⽴⼤学では在籍しているだけで、⾼額な授業料を払わなくてはなりません。実際に授業を受けていないのに、授業料だけ払うことの意味が分かりません。韓国では休学中は授業料を払う必要がないと聞きました。徴兵制の影響で、休学する学⽣が多いのが⼀因だと考えられます。韓国の制度では休学がしやすく、学⽣という⾝分を保ったまま、⾃分のやりたいことに挑戦できます。⼀度レールを外れたらやり直しが効きにくいとされる⽇本の⼤学制度とは対照的に感じました。
次に就職活動についてです。韓国と⽇本とでは就職活動の⽅法が少し異なっていると感じました。韓国では就職の選考の際に「スペック」が重要になるそうです。TOEIC の点数や、在学中のボランティア・課外活動の経験、第⼆外国語、そして約 6 カ⽉間に及ぶインターンシップの実績です。韓国の⼤学⽣は⼤学在学中から就職に向けて準備をしていることがよく分かりました。韓国では就職難により、在学中から就職のための努⼒をして、他の学⽣との差別化を図る必要があることが⼀因として挙げられます。
特にインターンシップの期間の⻑さには驚きました。⽇本では⻑くても 2 カ⽉以下の短期インターンが主流なので、休学してまでインターンシップに参加するというのはかなりの負担になっているのではないかと感じました。対して⽇本ではエントリーシートや⾯接での、⼈柄重視の採⽤が慣⾏になっています。韓国の学⽣ほどスペックは重視されないのですが、代わりに在学中のアルバイトやサークルの経験を⾒られたり、⾯接でコミュニケーション能⼒を⾒られたりと、別の苦労があります。相⼿国での就職を考える場合、違った就活対策が必要になりそうです。ディスカッションを通して、韓国と⽇本の共通点も⾒えてきました。それは、両国とも⼤企業と中⼩企業の待遇に差があり、より安定した⼤企業や公務員志向が強いということです。特に韓国でその傾向が強く、理科系の学⽣は⾃分の選考が活かせる専⾨職、⽂科系の学⽣はマスコミや財閥系企業、公務員への就職を希望するそうです。⼀⽅、中⼩企業を志望する学⽣は少なく、少⼦化と相まって、⼈⼿不⾜に苦しんでいます。共通点もある両国だからこそ、共同で政策を練ったり、協⼒してこの問題を解決する⽅法を模索することができるのではないかと考えます。
3. 独島・⽵島、⽇本軍慰安婦の問題
他のグループでは独島・⽵島、⽇本軍慰安婦の問題について討論していました。これらのグループの発表を聞いて理解を深められたので、⾮常に有意義な機会だったと思います。今まで、⽇本側の⽴場しか知らず、これらの問題を⼀⾯的にしか捉えられていませんでした。今回のフォーラムで、韓国も歴史的史料・証拠に基づいて独島(⽵島)の領有権を主張していることが良くわかり、⽇本軍慰安婦も、⼼からの誠意ある謝罪と対応を求めているのだと理解しました。しかし、これらの問題を「解決」するのは⾮常に困難なことだと感じます。正直、独島・⽵島問題にしても、⽇本⼈学⽣の発表を聞いていると、どう考えても⽇本の領⼟だ、と感じるし、韓国⼈学⽣の発表を聞いていると、韓国の主張も合理的で韓国の領⼟に間違いない、と感じます。歴史的正当性を担保する史料は数多くあり、専⾨家でないと分からない、という⾯もあると思います。⽇本軍慰安婦の問題についても同様です。⽇本側の⽴場では、そもそも慰安婦の強制連⾏があったかどうかも定かではなく、「なぜやってもいないことを謝罪しなければならないのか」、「韓国側は何度でも問題を蒸し返して、謝罪と賠償を要求してくる」という世論があります。⼀⽅で韓国の⽴場に⽴ってみると、⽇本はカネで解決しておしまいで、誠意ある謝罪をしていない、と取ることができます。これらの問題の「解決」を困難にする最⼤の原因は、両国の感情的な国⺠世論と、真実を知ることの難しさにあると考えます。だからこそ、まずは両国の国⺠感情の改善を図ることが、両国間のわだかまりを⼩さくしていくことにつながると考えます。その結果、さらに国⺠感情が改善するでしょう。
今回のフォーラムで、私達と同様に、韓国の⼤学⽣も、国家と個⼈は別物として捉えている⼈が多いこと、⾃分なりの意⾒を持っていることが分かりました。こうした⼈が増えれば、両国の国⺠間で未来志向な交流がもっと活発になっていくと思いますし、実際にそうなりつつあると感じました。
4. おわりに
⾃分の話になりますが、私は将来海外での就職を考えています。今回、韓国の⼤学⽣と「就職活動」をメインに話して、韓国の⼤学⽣がいかに在学中から努⼒しているかが分かりました。⽇本の就職活動とは異なる点もあり、また、海外就職を希望する学⽣とも話し、刺激になりました。
今回のフォーラムに参加して、韓国への知識・理解が深まったと同時に、韓国に対する興味・関⼼がますます強くなりました。⼀⽇本⼈として、今後の韓⽇友好を願ってやみません。
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